プレゼント選び、それは大変困難なミッションのひとつ

私の個人的な見解をひとつ披露する。

「人へ贈るプレゼントに一体何を選ぶかというのはとても難しい話である」。

このプレゼントは何か祝うものだったり、もっとカジュアルに旅行のお土産なんかも指している。プレゼントに何を選ぶかは相手とシチュエーションで変わるものだし、よほど相手が気に入ったでもない限り、同じ相手に全く同じプレゼントを繰り返し渡すことはない。だからいつも難しい。日常におけるちょっとしたミッションである。

親しい間柄なら何をご所望か尋ねるのもいいけれど、「パーカーの万年筆、本体の色は黒がいい」とか、「柄の入っていない白い平皿で、電子レンジも食洗器もOK」くらい具体的なリクエストがなければ、結局難易度は変わらない。「なんでも嬉しい」が一番困るとはこのことだ。それに、プレゼントを贈るからにはセンスが悪いと思われたくないし、受け取った相手の気に障るようなことがあってはよくない。考えることが多い。

プレゼントを選ぶときに、私が注意することは3つある。1点目、趣味に関係なく一般的に好まれ、使われるものを選ぶ。2点目、物理的・心情的に重たくないものを選ぶ。3点目、かさばらないものを選ぶ。これを守れば大体事故にはならない。

まず1点目だけれど、3つの中ならたぶんこれが最重要だ。例えば、プレゼントを贈る相手の推しキャラの色のアクセサリーなんてもってのほか。推しは変わるかもしれないし、アクセサリーは身に着ける本人のこだわりが実はとても現れやすい代物なので、下手にこちらで見繕って渡すのは大変な悪手だと思う。相手からリクエストがない限り、推しや好きなコンテンツ、こだわりが強く出そうなものは置いといて、普遍的なアイテムを選んだ方が安全だと思う。大方、日常使うもので少し値段が張るものに落ち着く。

2点目も気を付けたいポイントで、物理的な重さは相手の家へ直送するなら考慮しなくてもいいかもしれないけれど、大体は顔を合わせたときに手渡しだ。それに出会い頭に「これ、プレゼントです」なんて渡す無粋な真似はしない。1日中自分の手持ちになる上に、最後は相手にそれを持って帰ってもらうことを考えれば、おのずと重量級のものは避けたくなるはずだ。重さが軽い物でもあまりにも高価だったり、関係性の範疇を超えそうな代物、自分が貰ったら困るようなものもプレゼント候補から外す。

3点目はひとつ前の項目とも少し被るけれど、持ち歩きに不便なのと、相手の家でスペースを取っては単純に邪魔だろうというところだ。

そして、これは当然のことだけれど、贈る相手への気持ちを忘れてはいけない。受け取った側の気持ちを考えなければならない。間違っても、プレゼントを渡すことが目的になってはならない。それはただの自己満足だ。プレゼントを受け取った相手を喜ばせたい、という心がなければ何を選んでもダメと言っても過言ではないと思う。それに、いい加減なプレゼントは、受け取った方も感覚的にわかる。プレゼントを贈られるときというのは、基本的には何か嬉しいことなりめでたいことがあって喜ばしいタイミングなのに、そのプレゼントから自分への雑な扱いを感じては悲しい。私は、ラッピングがちぐはぐだったり、会うなり押し付けるように渡されたり、ビニールを開封済みの本を贈られたりしたことがあるけれど、どれもプレゼントの内容よりも、そういうところが悲しかったという思い出が勝っている。相手の気持ちを陰らせることない贈り物をしたいものだ。

ところで今、私はプレゼント選びで悩んでいる。10年来の友人が結婚するというので、年末に会うときにお祝いのしるしに贈りたいのだけれど、妙案思いつかずというところだ。結婚するとなっては、時間の自由も減って顔を合わせる頻度も低くなるだろうし、もしかすると、これまでの距離感ではなくなるのかもしれない。そうなってほしくないけれども。長く手元に置いてもらえるような品物にしようかと思いつつ、高島屋オンラインを周回していたけれど、まだ決まらない。今までで一番難易度の高いプレゼント選びかもしれないと思って、基本に戻ろうといつものプレゼント選びを振り返ってみた。残された時間はそう長くないけれど、焦らずもう少し考えることにする。