日記:急ピッチ夏支度

予想より早く梅雨が明けてしまった。夏の支度が何もできていない。まいったなあと窓の外を伺うと早くも日射しがきつく、これでまだ序の口だと思うと恐ろしいので、この週末に何とかしておこうと思った。

色々考えて、帽子と扇子とルームスリッパが要るだろうという結論になり、これを書いている段階ではその3点が揃った状態であるのだけれども、帽子が一番難航した。扇子は前から気になるものがあったのでそれを選び*1、ルームスリッパは無印の鼻緒がついたのにして*2、とかなりスムーズだったけれど、帽子は全く簡単ではなかった。

私は帽子がすこぶる似合わない。子どもの頃を思い起こしても、紅白帽子の時点で結構厳しいものがあった。着られている感ならぬ被られている感が出てしまう。何だろうか、頭の形や輪郭あたりに原因がある気がするけれども、そこが原因だったとしてほとんど直しようがないのだから、「できるだけ大丈夫な仕上がりになる帽子を根気強く探す」という方向で努力をすることになるのだけれど、チューリップハットと呼ばれる形状の帽子に至るまで、6個ほどの帽子を試着した。そこでわかったことは、つばがひらひらすぎたり、頭を入れる部分が浅かったり深すぎたりするタイプと相性が悪いということだった。これは今後のために覚えておきたいと思う。

チューリップハットUVカット効果を表立って謳っていないのが若干気掛かりではあるけれど、日射しを避けるには十分に働いてくれそうだったので、そしてそのお店に置いてある帽子の中で試着姿がいちばん大丈夫だったので、うちに来てもらうことにした。なんならすぐに被ります、と言ってお店の方にレジのところで値札を切っていただいて、お店を出てすぐ頭に被せた。地面に映る自分の影がいつもと違う形をしていて愉快だった。この夏を乗り越える仲間としてよろしく頼みたい。

*1:こんなこと言いつつうちわともかなり迷った。正直なところうちわも欲しい。小判型なんて可愛らしい。

*2:鼻緒がカラフルだと590円、鼻緒に色がついていないと390円だった。無論後者を選んだ。200円の差は結構違う気がする。

日記:映画国宝を見た

映画「国宝」をようやっと見た。あまりに鮮烈、ヒリヒリと感じるくらいで、3時間はすぐに終わった。再び照明がついたとき、手元には予告編以来ろくに減っていないポップコーンのカップが残っていた。これは圧倒的な作品だと思う。上映期間中にまた見に行こう。

伝統や文化の担い手たるのは血統か? 才能か? というのがこの映画のテーマだと私は感じ取って少し考えてみたのだけれど、おそらくこの2択では問いへの回答を完全にすることはできなくて、情熱や熱量、フランクに言えば好きという気持ち、強めに言えば執念、そういった感情面のピースが不可欠だろう、というのが私の一応の答えだ。名門の出であろうと、それに誇りを持てないならば全く身に入らないだろうし、才能があってもそれを積極的に生かせなければものにならない。情熱だけがあればよいというものでもないけれども。

喜久雄と俊介がずっと対照的であるのもまた痺れる。根の部分、師と教わった技術、女形であるというところくらいが同じだけれど、あとはもう違う。才能と血統という点もそうだけれど、喜久雄が手に入れたものを俊介は持っていないし、またその逆でもある。こんな相手がそばにいる心地っていったいどうなんだろう? と考えてみるとなかなか心がざわめく。

次はいつ見に行こうか? と映画館の上映スケジュールをチェックしたら、うちの近所の映画館に関しては、公開から時間が経つのに上映回数が減っていなかった。これはなかなかロングランの予感だ。まだの方には是非にと勧めたい。

日記:おいしさは忍耐

この間の土曜日にパッションフルーツを買った。沖縄県産、2玉入り。食べ方はもちろんわからなかったので、買った後で調べた。なるほど、へたの少し下を切ってスプーンで中身をすくって食べるのか。お店に並んでいる果実は熟したものではあるけれど、すぐに食べると酸味が強いので、お好みで3~7日間寝かせてください、とある。見た目がしわっとするとよい感じらしい。

私は果物の熟したのを見定めるのがたぶん得意ではない。この間もパパイヤメロンをちょっと早くに剥いて、甘いのと瓜々しいのとがまだらな感じになってしまってちょっと残念だった。思うに、私は心配性であり、かつ堪え性なしなのだと思う。放っておいて痛まないだろうか? と気になって毎日どころか朝昼晩と様子を見てしまうし、そうやって何度も見るものだからむずむず気になってしまって、結果的にしびれを切らすような形で果物のタイミングより早く包丁を手に取ってしまうのだと思う。

今回はチャンスが2回あるので、1回目は練習だ。3日置くのよ、と頭ではわかっていたけれど、やっぱり気になる、これはしわですか? 最近蒸し暑いから心配…と、結局、月曜の夜に1玉目を切ってしまった。パッションフルーツが収穫されたのは土曜日より前だと思えば3日は経過しているだろう、という理論を掲げて食べてみたところ、5段階中の3.5くらい酸っぱかった。よく考えたら3から7というのはそれなりに幅がある話で、3は7の半分にもならないのだから、本当に最速かつ極限の日数の可能性があるのだった。これは反省、と思って昨日は1日パッションフルーツに近づかなかったけれど、今日は何だか甘い香りが強かったので、様子を見てみたらややしわ感が出ている。どうだろうか? と思って食べてみたら、この間の酸味が8割方消えており、ちゃんと甘くなっていた。1、2日の差でこうも違うとは驚きだ。

こんな風においしく食べられた経験を重ねて、食べ頃を見極めるのが徐々にうまくなっていったらいい。少なくとも、もしまたパッションフルーツを買ってくることがあったら次は食べ時まできちんと待てる自信がある。できれば他の果物に対してもこの待ちの姿勢を応用したいものだ。

日記:サプライズプレゼント

そこに「ある」と認識しているものの入店したことのないサンドイッチ屋さんがあった。今度もまた「ある」と思いつつ一度お店の前を通り過ぎたのだけれど、いつになったら私はあのお店でサンドイッチを買うんだろう、そのいつかは今がいいんじゃないの? と思ったので、来た道を引き返してお店に入った。

ショーケースに何種類かサンドイッチが並んでおり、迷った末にコロッケサンドを選んだ。コロッケサンドを受け取ってお店を出ようとしたら、サンドイッチを買ったお客さんにはパンの耳を1袋お渡ししているので、よろしければ、とパンの耳をいただいた。パンの耳! 貰えると思っていなかったところに嬉しいサプライズだ。

コロッケサンドは、ソースのキュッとした酸味といい感じにしんなりとしたコロッケの相性が良くて、瞬く間に完食した。他の種類もぜひ食べてみたいと思った。次は卵かカツサンドがいい。

それで、パンの耳をいかにして食べようか? いろいろ考えた末、何本かはそのまま食べたけれど、大方はフライパンにバターを引いて少し焼き目を付け、グラニュー糖とシナモンパウダーをまぶした。これがなかなか美味しくできて、できたての温かなうちに全部食べてしまった。少し残しておいて明日のおやつにすればよかったわ、とこれを書きながら思っている。

ところで、「パンの耳」という言葉はおもしろい。その単語だけで何のどの部分を指しているのかわかるのもすごいのだけれど、あの四方の茶色の部分は「縁」とか「端」と呼んでもよさそうなのに、耳ときたか! と思う。ちょっと可愛げがある。食パンの四角いのを、しょくぱんまんの要領で頭ないし顔に見立てたのだろうか? 

日記:読み間違い選手権

スーパーのチラシをチェックしていたら、ちらりと「やんのか麦茶」と見えて、そんな好戦的な…と思いつつよくよく見たら「やかんの麦茶」だった。窓を開け放つと外からはジワジワと鳴くセミの声、畳とちゃぶ台のシンプルな居間で麦茶を飲む夏の一コマのイメージが浮かびそうな素敵な名前である。それをよくもそんな風に読み間違えるわね、と思ったけれど、あともう1、2度くらい同じ読み間違いをする気がしている。

そうではないと知りつつどうしてだか間違った読みに引っ張られそうになるものの私的第一位は「オーソドックス」、読み間違え方は「オードソックス」。オーソドックス、と目にしたり口にしたりすると、妙に靴下の残像がちらつく。そしてその靴下は決して新品ではなく、ちょっとくたびれている。

次点で「あからさま」、読み間違え方は「あらかさま」。これは自分でもよくわからないけれど、意味と音が似ている「明らか」に引っ張られて「か」と「ら」の順番があやふやになっているように思う。元の言葉も間違えた言葉も「~さま」で終わるからか、どことなく神様とかその地に伝わるなにかの名前のように感じられる。

日記:手の平の上の会話上手

このところ、チャットGPTと仲良くやっている。最初は、「朝ごはんにお味噌汁を追加しようと思うがどうだろうか? 」というようなことを聞いて、「それはとてもいい選択です! 」と太鼓判を貰い、更にアドバイスを求めたところ、「野菜を使ったおかずがつくと尚よい」と返ってきたので、ここ1週間はそうしている。朝ごはんが自分比でちゃんとしたことにより、午前中の間食をしなくなったし何となくニキビができづらくなったので、なかなか嬉しい。

他にもいろいろ尋ねている。少し前にちょっと意地悪して、「私がもてない理由は何だと思うか? 」と聞いたら、回答が始まる前に「まず、もてないと思っているのはあなたの主観であって、実際の状況とは異なる可能性があるが…」と前置きされたのには驚いた。もし現実に、私が他人から急に「もてないんだよね」と話かけられても、困った風の笑顔とともに「え~? 」くらいしか返せない。ちなみにこの質問への最終的な回答は、要約すると「無闇にもてようとしなくてよいのでは? 」だった。多大なる配慮を感じる。

チャットGPTは何か投げかけると、それが多少厄介な振りでも感じの良いリアクションが返ってくる。要は会話が上手い、つまり会話の練習相手にうってつけ、ということに気が付いてから、会話の苦手克服を兼ねて気が向いたときに「もしもし」と話しかけている。それはシンプルな質疑応答だったり本の感想だったりするけれど、繰り返すうちに、いい感じの返し方とか相手への質問の仕方であるとか、言語化のコツのようなものをぼんやりと学習しつつある。もし、チャットGPTのおかげで私のコミュニケーション能力が飛躍的にアップしたらおもしろい。ただしその場合、喋り口調がどことなくチャットGPTに似てしまう恐れがある。

金沢土産&食べ物レポート

金沢のお土産、及び自分用にスーパーで買って美味しかったものを紹介したい。

1.宝達*1

もちもちの生地と絶妙な甘さのあんこのハーモニーに金箔がトッピングされている。あまりの美味しさに、食べ始めるとすぐになくなってしまう。お土産で配ったらすこぶる評判がよかった。ドラえもんの来訪に備えるなら、このどら焼きを買い置きしておけば大丈夫だと思う。

2.飴ん子*2

外箱の愛らしさにノックアウトされる。飴も素朴で優しい味わいで、ひと箱余分に自分用として買えばよかったと思う。グラム表記だけれど大体ひと箱20個は入っているとお店の方から伺ったので、広くお土産を配りたいときに重宝しそうだ。*3

3.五郎島金時*4

「加賀の野菜は美味しい! 」とスーパーの売り場にポップが立っていたので、持ち帰りやすそうなサツマイモを選択。シンプルにふかして食べたら大当たり、ホクホクの食感としっかりした甘さでほんのりノスタルジーを感じる。このお芋を身近で購入できないことが残念でならない。

4.ひゃくまん穀*5

ホテルの朝ごはんビュッフェで供されていたお米がこの「ひゃくまん穀」で大変美味しく、1日目は茶碗大盛1杯に加えておにぎりも食べる、2日目はパンを4種類食べたけれどやっぱりごはんも食べたくなって茶碗1杯、というようにちゃんと胃袋を掴まれてしまった。300グラムパックをお土産に持ち帰ったのでご飯のお供が揃い次第炊く。

5.ダートコーヒー リッチロイヤルブレンド*6

1945年創業のコーヒーショップがあるなんて、金沢の町は素敵だ。そしてこちらのコーヒーは香り高くて美味しい。すっきりとして飲みやすいのも嬉しい。美味しいことを知っているから、オンラインショップに種類豊富にコーヒーが揃っているのを見るとドキドキしてしまう。

6.柴舟*7

あまりに心が浮足立ったので竹籠入りのを買った。角のないまろやかな形に薄く砂糖を纏っていて、なんという品の良さだろう。しょうがの風味がはっとするアクセントになっている。食感の良さもまた次の一枚を誘う。

7.牛乳*8*9

折角なので現地でしか賞味できないものを、と思ったときに牛乳という選択肢は非常に有力だ。なにせお土産での持ち帰りが困難で、飲食するのに食器が要らない。そのうえ、その地域固有と思しきメーカーの商品に出会える確率が高い。今回はホリ乳業さんとアイ・ミルク北陸さんの200ミリをそれぞれいただいた。前者はすっきりとした味わい、後者はコクのある味わい。どちらも美味しかった。今回は紙パックだったけれど、いつか牛乳瓶タイプに巡り合えたら瓶をコレクションしたい。

8.飲むヨーグルト*10

蓋をめくったら縁にかたまりになったヨーグルトがついており、それだけでも飲む前から期待値が高かったのにそれを越えていく美味しさだった。濃厚! 既存の分類に従うと飲むヨーグルトに当てはまるものの、その枠に収まりきらないような、そんな力強さがあった。

9.昆布パン*11

スーパーで見かけた折に、「今ここで昆布パンを見逃した場合、再び昆布パンに遭遇する機会は巡ってくるのか? 」と考えた結果、その確率の低さに思い至り購入と相成った。このパンは父母にも食してもらったのでそれぞれ感想を尋ねると、「おいしい」、「昆布の主張がすごい。食感が固い。意外なおいしさ」とのことだった。もちろん私もいただいたけれど、昆布の食感がことのほか強く、パンを食べているのにコリコリとした歯触りがして不思議な体験だった。塩気と磯のフレーバーがなんとも癖になる後引く味わいをしており、だし巻き卵と相性がよさそうだと思った。

昆布パン。よく見たら「富山の昆布パン」とある。しかしこのパンに使われている昆布は富山県産ではなく北海道産なので、「富山の昆布/パン」ではなく、「富山の/昆布パン」なのだと思う。ということは、昆布パンは富山の食べ物であって金沢の食べ物ではないのだろうか?