習字で「竹」と書きながら、ふと思った。竹がたくさん生えている場所のことは常に「竹林」と呼んで「竹森」とは呼ばない。これを端に森と林の違いとは何だろうか？ と考えてみた。辞典やネットですぐに調べることもできるけれど、自分の中で推理し、仮説を立ててから答え合わせした方が面白そうだと思った。このほど答え合わせまで終わったので、発表しようと思う。素人の考えたことなのであまり期待しないでほしい。
さて、森と林の違いは何なのか。漠然と、広大な面積に複数の木（植物）が生えている場所を森、それよりも小さな面積に複数の木（植物）が生えている場所を林だと思っている節がある。木（植物）の生育数も森の方が多いだろう。漢字からしてそうだ。木が3つで「森」、木が2つで「林」なのだから。しかし面積が広かろうと生育数が多かろうと竹は「竹林」だ。広さや生育数以外の点でも区別していると思われる。
そこで私は、生えている木（植物）の種類に注目した。たとえば竹林は、竹しか生えていない。松林もそうで、見渡す限り松ばかりだ。すなわち、単一の種類の木（植物）だけが生えている。これに対して森は、複数の種類の木（植物）が生えているのではないか。私が森と聞いて思い浮かべられるのが山中の高速道路走行中の風景で、サンプルとしては微妙かもしれないが、遠目で見ても広葉樹と針葉樹が混在しているし、葉の色味や樹の姿かたちの違いから、いくつかの種類の木（植物）が集まっているものと思われる。つまり、生えている植物の種類が単一なら「林」、複数なら「森」というように区別しているのではないか。我ながらいい線だと思った。おそらくはじめの印象である面積の違いも条件のひとつだと思われたので、「面積が広く生えている木（植物）の種類が複数なら森、面積が狭く生えている木（植物）の種類が単一なら林」という仮説を立てた。
しかし気が付いた、「雑木林」が存在することに。雑木林に生えている植物は、読んで字のごとく種々雑多だ。そうなると、面積や本数だけの違いなのか？ はたまた別の条件、例えば場所や地形の違いなのか？ 色々考えたが、仮説をそのまま維持して答え合わせに入った。
森と林の違いは？意味・定義を解説！木・山・森林とはどう違う？ | BOTANICA (botanica-media.jp)
こちらは検索エンジンで「森と林の違い」と検索したら上位に出てきたページだ。このページに記載されている、森と林の違いについて書かれた部分を引用させていただく。
農林水産省では、森の定義を「自然にできた樹木の密集地」と定めています。しかし実際は人の手で作られた公園を「市民の森」と呼ぶなど、農林水産省の定義と世間一般での定義は必ずしも一致していません。（中略）
農林水産省では林の定義を「人工的に作られた樹木の密集地」と決めています。実際に人間が作った樹木の密集地を「人工林」といいますが、一方で「原生林」「天然林」と、自然に木が生えた場所を林ということも多いです。このように農林水産省が定めた林の定義と一般的な林の定義には、違いが見られる場合があります。（中略）
じつは森と林の明確な区別はつけられていません。使い分けの基準もあいまいです。一般には、森は「大規模で多種多様な樹木が密集している場所」、林は「小規模で同種の樹木が並列して生えている場所」と区別しています。また、林を里山など生活に直結した身近な範囲、森を山奥など、生活に直結しない遠い範囲にある場所と区別することもあります。
この内容を踏まえると、私の推理はそこまで的外れではなかったようだ（雑木林のことはちょっと置いておこう）。しかし、思ったよりも森と林の区別ははっきりしていないらしい。
言葉の一般的な意味を調べるならば、辞典の右に出るものはないだろう。国語辞典（岩波国語辞典第七版）を開いたところ、森は「木がたくさん生え茂っている所。（略）▽本来は（神社など）神が下りる神聖な場所。一般には、林よりも木深い場合に言う。」林は「木がたくさん集まって生えている所。（略）」とあった。木がたくさん生えている所という点で森と林はほとんど同じ説明だが、注目すべきは森が本来神聖な場所という意味を持つ点だろう。
これは想像だけれど、神聖なものと思われた森は人の手で作られたものではなくて、長い年月をかけて自然に形成されたものではないだろうか。意図的ではなく偶然に発生したものに、人知を超えたものの力や影響を見出すというのはありえそうな話だ。そういえば、農林水産省の定義では自然物か人工物かを違いとして掲げていた。農林水産省のはきっと文化的な側面とは違う観点から設定しているだろう。定義を設定するにしても、どのような側面から見るかによって内容や意味合いも変わりうると気が付いた。
以上が森と林の違いについての私の推理の顛末だ。自由研究のようでおもしろかった。今は湖と池と沼の違いについて考えている。水深と透明度の違いが最有力だけれど、もう少し考えてから答え合わせしようと思っている。
