ときめく樹木

サルスベリ。はじめに花よりも幹に目がいく。あんなにすべすべしている樹木は、なかなかお目にかかることはできない。どこか涼し気というか、鬱陶しさがなくていい。細かいフリルのような花をつける。白も爽やかでいいけれど、熱さに負けない、踊り子のような強さのあるピンクの花の方が好きだ。葉の濃い緑とのコントラストもまぶしい。

タイサンボク。なんだろう、あの冠のように大きな花。絶対に目が行ってしまう。花も大きければ葉っぱも樹木そのものも大きい。大きい植物は街中ではあまり見かけることはないけれど、町はずれに生えている場所を知ってから、花が咲いていそうな時期に見に行っている。ちょうどこの間、たくさん咲いていた。静かな場所にある大きな木は、どこか威厳がある。

イチョウ。あの葉の形はとてもユニーク。青い葉の時でも、イチョウの木は独特の香りがする。8月、9月くらいに木を見上げると、鈴なりの青い銀杏を見つけることができる。外が暑くても、季節は秋へと向かっていることを感じさせてくれる。こちらでは10月のはじめくらいまで割と葉が青いけれど、ひとたび黄色がかってきたら一気に木全体が山吹色に染まる。イチョウが黄色くなったら一段寒くなると、昨秋知った。

ナンキンハゼ。この木が輝くのは秋と冬だと思う。ハート型の葉がモミジよりも明るい赤に染まる。秋から冬にかけて色が減っていく街の中で、その赤は鮮やかだ。そのあと枝先に白くて小さな実をつける。真珠で飾り付けをしたような木は、冬の曇天の下で優美に立ち並んでいる。その様子を見れば、寒い冬も悪くないと思える。