日記:遥かな氷と今ここの音楽

ユーリ on Iceというアニメがある。もう10年ほど前になるだろうか、出演声優目当てでアニメの視聴を始めた私は、その作品の音楽に惹かれた。フィギュアスケートを取り扱っているアニメだったので劇中でもスケーティングのシーンがあるのだけれど、そこで使われている楽曲が心地よくて、最終的にサウンドトラックを買った。アニメのサントラを買ったのは今のところこれきりだ。もちろん今も手元にある。

長距離移動をするとき、私はウォークマンを連れていく。宝塚の公演CDやミュージカルのアルバム、懐かしいJ-POP等々が詰まっているその中に、ユーリのサントラもちゃんと入っている。この間、高速バスに揺られつつ久しぶりに聞き直したのだけれど、やっぱりいい音楽だと噛みしめた。今も昔も「愛について~Eros~」みたいな情熱的な音楽が好きだけれど、昔、それこそアニメを見ていた頃よりも今の方が「Yuri on ICE」の良さがわかるようになった気がする。美しくドラマティック、しかし心に寄り添うような優しさがあり、一貫してしなやかさを失わない…と、素人が少ない語彙を駆使したところでこの曲の良さが伝わるかわからないけれど、私はそういう音楽だと感じている。

私もユーリの映画を楽しみにしていたひとりだったので、この春に制作中止の報を耳にしたときにはとても残念に思った。割と長らく待っていたというのと、また心が動くような音楽が聴けるかもしれないという期待が大きかったので、「やっぱり制作中止を止めて制作します」とアナウンスされないかな、なんてありもしないことをいまだに思ってしまう。