日記:3年越しの香り

私には「手持ちの香水を使い切っていないにもかかわらず新しい香水を買う」という悪癖があり、それはおおよそ1年に1回発動する。そして昨日が1年に1度のその日だった。ここ数日のあれやこれやを思うと気分を変えたくなり、仕事帰りに駅ビルに寄り道した末、香水瓶をひとつ迎えた。その香水はデコルテのキモノ キヒン。家で待つ香水瓶たちのことを思い、控えめに15mlサイズにした。

私は既にこのシリーズのユイを持っている。ユイの香りは軽やかで優しいスイートフローラルのいい香りだ。確か3年くらい前に買った。その当時、ユイ狙いで訪ねた先のお店の店員さんは、個人的にはキヒンがおすすめだと仰っていた。折角だから…とテスターを嗅がせてもらったのだけれど、そのときは、私がこの香りを身に着けるととても背伸びしている感じが出てしまう、香りについていくのに手一杯になりそうだと感じられて、結局ユイを入手したのだった。

それが月日を経るとあら不思議、今はユイの香りが自分にはちょっと軽やかすぎて物足りなく思われるし、あの時ピンとこなかったキヒンの香りが今の自分のモードにしっくりくるのだから、いくら自分でも好みとはわからないものだ。私自身が少しずつ変容していっていることの証のようにも思える。

今日1日はキヒンを手首に1プッシュして過ごした。優雅な香りに気分も上がる。これだから香水を手に取らずにいられない。溜まりゆく香水瓶を思うと頭が痛いけれど、それはそれ、これはこれだ。