日記:土用の丑の日、そうだ、参鶏湯食べよう

いつものスーパーも、土用の丑の日のポップや垂れ幕で賑やかになっていた。鮮魚コーナーの常連である真アジやブリや鮭の切り身はどこかへ追いやられたらしく、ウナギのかば焼きがこれでもかと並べられていた。ウナギは美味しい。美味しいけれど、絶滅しそうだと聞く。ウナギを食べるのは忍びない気がして、コーナーを離れた。しかし、店内を彩る土用の丑の飾りつけを見ていると何か滋養のあるものを食べたくなったので、韓国料理屋で参鶏湯を食べることにした。参鶏湯は名前だけ知っていた。韓国語の授業のテキストに出てきたのだ。「韓国では夏に参鶏湯を食べます」という例文だったと思う。鶏肉が柔らかくて美味しいですよ、と先生が言っていた。調べてみると、薬膳料理の仲間であるらしく、夏バテしたときに疲労回復のために食べる料理だという。

お待たせしました、と出てきた参鶏湯はぐつぐつと音を立てていて、熱い。そして暑い。火からおろされたばかりであろう鍋が熱を放つ。ふうふうと食べ進めながら汗が流れる。あっさりしたスープに鶏肉とお米にネギと、何かよくわからないが黄色い木の実が入っている。このお店は、鶏肉に具材を詰め込んで煮るのではなく、それぞれ鍋に入れて煮込んでいるらしい。その方が食べやすくて参鶏湯初心者にはありがたい。鶏肉はよく煮込んであり、軟骨まで柔らかくてそのまま食べることができた。最初はどうして骨がこんなに…とおののいたけれど、食べられるとわかってからはワイルドにいかせてもらい、一人前を完食した。美味しかった。他国の季節の料理を味わうというのもまた乙なものだと思った。