エッセイ:みどりのお茶

寒くなって、緑茶がおいしい。急須は持っておらず、もっぱらティーバッグ派である。急須で淹れるのにも憧れがあるものの、茶殻の処理だ急須の洗浄だを思うと、マグカップに一包み入れてお湯を注ぐだけ、という手軽さがありがたい。もうちょっと生活をまめにできるようになったら、是非とも急須でお茶を淹れる生活を送りたいところ。緑茶だけれど、私は夜に本を読んだり編み物をするときに隣に置いていることが多い。まろやかで刺激が少なく、コーヒーや紅茶ほど眠れなくなることがないところがいい。ちょっと休憩、と一口飲む温かいお茶の染みわたること。

今、私の家にはとっておきのお茶がある。この間訪れた鹿児島で、お土産屋さんがひしめき合うアミュの地下を歩いていたら、お茶のいい香りがした。立ち止まった。いったいどちらのお店、と香りをたどった先のお茶屋さんでは、様々な茶葉を売っていた。知覧茶だ。すっかり魅了されて、ティーバッグと茶葉をお土産にした。茶葉は人の手に渡ったが、ティーバッグは私のものだ。ためしにひとつ使って見たら、明らかにいつものお茶と違う。香しくて、色もきれいな緑だ。普段のお茶がだめとかそういうことではない。シンプルにこのお茶がすごいのだ。このお茶は、特に美味しいお菓子と一緒にいただきたい。これはお茶に対する敬意だ。近々、大事に取っておいたとらやの羊羹の箱を開けようと思う。

 

今週のお題「最近飲んでいるもの」