宝塚旅行記①:朝の飛行機に乗って

朝の空港は人の数のわりに静かだ。それは皆、起きてからさほど時間が経っていないから? 例にもれず私も大層無口で、チェックインカウンターで初めて口を開いた。よろしくお願いします、と言って荷物を預ける。私は空港に着いたらすぐさま荷物を預ける。機内持ち込み可能な大きさのキャリーバッグも預けてしまう。上の棚に入れるのは大変。

手荷物検査も早々に済ませてしまう。緊張する瞬間だ。かばんから金属っぽい物を引っ張り出す。がま口の財布、鍵、充電コンセントとモバイル充電器。だんだん、自分は荷物が多すぎるんじゃないか、持ち物全部何かしらの金属がくっついているんじゃないかと思えてくる。ゲートを通過する前に、慌てて腕時計を外した。その甲斐あってか、検査は何事もなく終わった。待合でいそいそと窓際の席を確保し、飛行機を眺める。飛行機を見るのは好きだ。普段は空高く飛んでいる様子しか見れないけれど、今なら地上に何機もいる。いろんな形がある。尻尾が緑色のANA機が珍しい気がした。私が乗るのは小さめのJ-AIRだ。

飛行機に乗る。窓側の席だ。離陸前後が楽しい。あの、ふわっと浮き上がる感覚はいつも旅の気分を盛り上げてくれる。飛んでいる間は窓の外を見たり、機内誌を読んだりして過ごす。機内誌の間違い探し、サイゼリヤほどではないけれどそう簡単に見つけさせてくれない。特集は鹿児島のさつま揚げだ。美味しいさつま揚げを求めて鹿児島のお店を巡るというもので、文章を読むとボリューミーな甘辛い魚のすり身が思い浮かんだ。そのままでももちろん美味しいけれど、タマネギと炒めて最後に卵を落とすのも好きだ。お米に合う。ああ、さつまあげ食べたい。しかしこれから向かうのは関西だ。そうこうしているとCAさんがワゴンと共に現れた。ドリンクサービスはジュース以外の何かにする。眠たければコーヒー、のどが渇いていればお茶か水、一度だけスープを頂いたことがある。今回は綾鷹にした。隣の人がジュースを貰っていてブドウのような香りがした。

降下が始まると、段々地上の様子が見えてくる。関西方面へ行く飛行機に乗るとおもしろいのが、前方後円墳があちこちに見えることだ。鍵穴みたいな形をした緑がぽこぽこしている。比較的街中のようなエリアにも出現したりするから、この一帯は歴史が深く、古い時代に親近感があるのかなと思う。素敵だ。大阪の辺りはさすがに大都会で、高い建物がどんどこ建っている。都市部の周辺には家も多い。車や電車が動いている様子を見ると、巨大な街と個々人の生活のコントラストがちょっとだけ恐ろしくなる。

かくして無事伊丹空港に到着した。空港についてキャリーバッグを受け取ったら、そのまま駅へ直行…ではなく、お土産ショップでお買い物だ。私のキャリーバッグには荷物が半分しか入っていないので、今ここでお土産を買い、ホテルでキャリーに詰めてしまえば帰りが楽になる。土曜日の午前中は人が少なく、店内も見やすかった。今回は京都のお漬物が欲しいと思っていたので、常温保存がOKな小分けのお漬物を買った。他にも職場用、自分用とお菓子を少々。これで準備は万端、これからモノレールと阪急で宝塚へ向かう。