日記:ひとり観覧車@鹿児島

鹿児島へ行き、時間があったので観覧車に乗った。アミュプラザにある観覧車だ。おひとり様500円とは良心的。

ひとりの観覧車はいたって静か。観覧車の動く音、風の音、街の喧騒は遠くゴンドラが風で揺れる。高いところではできるだけ視線を落とさない方が怖くない。特に真下を見ないようにする。足元が地面からはるか遠くに浮いていると思ったら一気に背筋が冷える。これは根源的、本能的な恐怖心ではないかしら。

景色を眺め、写真を撮る。鹿児島は都会だ。桜島雄大だ。こんなに市街地の近くに活火山があるなんて、と思ったけれど、そういえば町中にも火山灰の集積所があった。生活の一部になっているのだ。

あとひとつ昇ればてっぺんくらいの場所で、乗客の乗降のための一時停止のアナウンスが入ったときには「何だって?!」と大きめのひとりごとが口を突いて出た。しかしスタッフの方にとっては日常茶飯事なのだろう、アナウンスも緊急事態、という雰囲気ではなく、何なら牧歌的だった。言葉通りに1分もせぬうちに観覧車は動き出し、ほどなくして私のゴンドラがてっぺんにきた。今この瞬間、一番よく鹿児島の街が見えているのは私なんじゃないかと思って、写真を撮らずにガラスの向こうを見ていると、桜島が噴出したすすか灰かが空に滲むように広がっていった。