日記:映画国宝を見た

映画「国宝」をようやっと見た。あまりに鮮烈、ヒリヒリと感じるくらいで、3時間はすぐに終わった。再び照明がついたとき、手元には予告編以来ろくに減っていないポップコーンのカップが残っていた。これは圧倒的な作品だと思う。上映期間中にまた見に行こう。

伝統や文化の担い手たるのは血統か? 才能か? というのがこの映画のテーマだと私は感じ取って少し考えてみたのだけれど、おそらくこの2択では問いへの回答を完全にすることはできなくて、情熱や熱量、フランクに言えば好きという気持ち、強めに言えば執念、そういった感情面のピースが不可欠だろう、というのが私の一応の答えだ。名門の出であろうと、それに誇りを持てないならば全く身に入らないだろうし、才能があってもそれを積極的に生かせなければものにならない。情熱だけがあればよいというものでもないけれども。

喜久雄と俊介がずっと対照的であるのもまた痺れる。根の部分、師と教わった技術、女形であるというところくらいが同じだけれど、あとはもう違う。才能と血統という点もそうだけれど、喜久雄が手に入れたものを俊介は持っていないし、またその逆でもある。こんな相手がそばにいる心地っていったいどうなんだろう? と考えてみるとなかなか心がざわめく。

次はいつ見に行こうか? と映画館の上映スケジュールをチェックしたら、うちの近所の映画館に関しては、公開から時間が経つのに上映回数が減っていなかった。これはなかなかロングランの予感だ。まだの方には是非にと勧めたい。