ビフォーアフターとあのピラミッド

2022年はどんな年でしたか? 今年を漢字1文字で表すと? なんて話題が飛び交うので、年末が近いのだと思う。今週のお題は「ビフォーアフター」、我が身を振り返ると近年まれに見る変化があった。特に見た目が著しいと思うので、それについて書こう。今年の見た目の変化、それは半年で7キロ痩せた、髪を短くした、眼鏡に切り替えたの3本立てだ。

7キロって、小さなこどもくらいの重さだ。なかなかすごいんじゃないの、と思う。運動して、食べる量を減らしたら、当たり前に体重は減少した。腹と腰回りから痩せて、そのあと胸とか鎖骨のあたり。その次は背中らへん、最後に腕と脚の肉が落ちた。顔だけが変わっていない。みぞおち辺りから張り出てカーブを描いていたおなかがどんどんしぼんで、今や反らなくとも肋骨が主張している。身体を触ると骨が近い。骨盤が尖ってたまにぎょっとする。痩せて、服装が変わった。手持ちのサイズが合わないので買い直したのだけれど、スカートを手に取るようになった。思いがけない変化だ。

ヘアスタイルをボブにした。わりと長期間悩んだ末、髪をあごの横までに切りそろえてからもう少しで2か月になる。私は髪が伸びるのが早いみたいで、今はあごの下何センチかになった。伸ばすか、短いのをキープするか。このスピードで伸びるのだったら、そのまま伸ばしてしまおうかな、という気が優勢だ。あんなに迷った末に切ったのに? という気持ちも若干あるけれど、あのとき切らずにいたら、悩む時間が伸びていたとおもうのでこれでいい。短い髪は、こまめに手入れしなければきれいに維持できないので、少し先の予定も見つつ来週の美容院でのオーダーに備えている。

眼鏡は素敵だ。なんといっても楽なのだから。コンタクトって大変な代物だ。毎日つけて外して、たまに病院に行って、定期的に買って、こんなことはまめでなければできない。その点、眼鏡は着脱らくらく、自分で気になったら度数調整しに眼鏡屋さんに行けばいい。目も、コンタクトより疲れにくい気がする。この時期は、レンズのくもりが気になると言えば気になるけれど、他の気軽さを考えると全然許せる。それに、最近では眼鏡が私の顔面を完成させている。離れ目を気にしていたのが、眼鏡で物理的にスペースが埋まるのだ。眼鏡をかけているのが似合うと言われるのも嬉しい。今までどうしてコンタクトで頑張っていたのか、よくわからない。せっかく若いのだし、眼鏡をかけていたらもったいない、的な思い込みがあったのだと思うけれど、そんなもの吹っ切って大正解だった。眼鏡に完全転向した1年だった。

もし、ゲームのアバターのように見た目を簡単に変えられたら、と思わなくもないけれど、それは案外面白みがないかもしれない。変化するためにある程度努力が必要なとき、努力して目標が達成できた時の喜びも大きい。この手の話をどこかで聞いたと思ったら、マズロー自己実現理論だ。思いがけず高校倫理のワードが飛び出てきたけれど、私はあのピラミッドはこういうことだったんだなあと、この1年の体験を以て理解した。ありがとうミスターマズロー、そして倫理政経のO先生。ピラミッドのてっぺんから景色を眺めて、私はとても気分がいいです。